2011年6月20日月曜日

畑の昆虫・動物たち6.アサギマダラ

アサギマダラは渡りの蝶として知られている。赤や水色のコントラストの美しい羽根をもつ蝶だ。この蝶たちのすごいところは、なんと言っても1000キロを超す距離を移動すること。冬は沖縄や台湾のあたりにいて、夏は東北地方あたりまで移動する、まさに渡り鳥ならぬ渡り蝶。


畑のある静岡県田方郡や近隣の熱海、神奈川県湯河原あたりでは、春は5月下旬から6月、秋は10月から11月上旬ころに遭遇する。私はこの蝶の渡りに遭遇することを毎年楽しみにしているが、必ず会えるわけではない。遭遇できなかった年もある。昨年は逢えなかった。なぜか秋に遭遇することが多い、春には滅多に会えない。


彼らは野山をふわふわと優雅に、まるでやわらかい風に舞いあげられたティッシュペーパーのように飛んでいる。また人見知りしない蝶で、手を差し伸べれば簡単に捕まえられる。そういった博愛の蝶なのでアサギマダラフリークたちは、マーキングといって羽に印をつけたりして移動距離を測ったりする人たちもいる。記しを付けられたアサギマダラたちは何も知らずに飛んでいる。


春は北上、秋は南下する。特に南下は向かい風の中を単独で飛ぶのである。聞いた話だが、ある漁師が「沖合にでた船に蝶が止まって休んでいた!」という話を聞いたことがある。なんと、この蝶は海の上も渡りの航路なのだろうか!ほんと不思議な蝶なのだ。


この畑にはたった一度だけ、2003年の秋にふらっと訪れたことがある。思わずデジカメのシャッターを切った。撮りまくった。ちょうどコスモスが咲いていた10月だった。この畑に羽休みに来たのだろうか、うれしくてたまらなかった。


大概、野山で遭遇することが多いが、まれに街中で逢うこともあって、ある年、熱海の街で車に乗って信号待ちをしていたとき遭遇したことがある。岡本ホテルと市役所の交差点だった。「あ、アサギマダラだ」と思わず声をあげてしまった。車にひかれないか心配でならなかったが、そんな心配などお構いなしに、ふわふわとどこかへ消えて行ってしまった。


彼らは1000キロもの距離の中で、風雨に耐え、人に捕まり、排気ガスに煽られ、時にはコスモス咲く畑で羽休めをし、時には海の上に浮かぶ船の上で眠り、昆虫に会い、リスに会い、カモメに会い、そしてカラスに追いかけられ、たまに優しい人の手のひらに乗ったり、と、様々な冒険をしていく。私は彼らに恋しているのだろうか、この季節が訪れるときみたちの姿を探してしまうのです。


どなたか、もし彼らを見かけたら、どうか応援してやってくださいね。



撮影は2003年秋。畑に飛来したアサギマダラ。

まるでステンドグラスのような美しい葉根。








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